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  • 2024/05/09 (木)
  •  雑踏の中、はたまた車道で踏まれ続けてもなお、たくましく生きる植物ら。連休中に見つけたタンポポは道路脇の割れ目から顔をのぞかせ、種子を付けた見事な綿毛を身にまとう。小さな存在ながら命は確かにある▼種子といえば子孫に通じるが先月、厚生労働省が全国の市区町村別合計特殊出生率を発表した。同出生率とは15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので本県の平均は1.69。郡市の場合、豪雨災害で未発表の球磨村を除く全9市町村の平均が1.78と県平均超えの秀逸ぶり▼子どもといえば休日のレジャーほか、私たちが平和な日常を送る中、世界各地で続く戦争や紛争の最大の犠牲者こそ彼らとなろう。子どもの日を迎えて日も浅い上、日々の報道では彼らの不幸に触れてもいる。安全に生活できる現環境について思索してはどうだろうか▼冒頭のタンポポと遭遇した翌日、愛車のシート上で静かにたたずむ綿毛を見つけた。逆境をへてなおも懸命に子孫を残す小花が、飽くなき欲求で互いに傷つけ憎しみ合う人間界の愚かさをあざ笑うように感じた▼憎しみより、思いやりの種を残す社会がよいのは当然。あとは行動するのみだ。

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