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あり方検討委員会 短期と2年コース提案(2025/04/07) (2025/04/07)
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五木村頭地にある県南校校舎「林志館」
 熊本県が開設している「くまもと林業大学校」の機能拡充に向けた、あり方検討委員会(委員長・藤掛一郎宮崎大学農学部教授)は先月25日、現在の長期課程(1年)拡充に加え、新たに「2年コース」「ショートコース」の新設を提案する最終報告書を提出した。県は、報告内容を基に今後、運営について検討を進めていく。
 林業大学校は、即戦力となる林業従事者を育成するため平成31年4月に開校。長期課程の定員は24人で、研修生が通いやすいように県北校(熊本市)と県南校(五木村)の2校体制で、これまでに105人が卒業し、第一線で活躍している。
 しかし、人口減少や人材獲得競争、全国で林業大学校が増加し、今後は入校生の減少が懸念されており、令和7年度入校生は県北校11人、県南校5人の計16人で定員を割り込んでいる。
 県では、より多くの人材確保と育成を進めるため、機能拡充や課題対応に向けた検討委員会を昨年7月に設置。委員は、学識者、行政、林業経営者、卒業生、県立高校など11人で構成し、今回を含めて全4回にわたり、機能拡充について検討を重ね、最終報告書をまとめた。
 報告書は、林業大学校を取り巻く状況、課題、求められる人財像、機能拡充の方向性の4章で構成。
 今後の方向性として、求められる三つの人財像について「現場の即戦力となる人財」育成は現在の長期課程の拡充、「組織の中核となる人財」育成は「2年コース」新設、「林業と併せて地域を活性化できる人財」育成は「ショートコース」新設での対応を挙げている。
 新設の2年コースで想定する研修対象者は、林業未経験者で林業経営や森林デジタル技術習得を希望する人。
 1年目は、林業に関する技術・知識を中心とした長期課程と同程度の研修。2年目は会社経営、林業や木材マーケティングなどの「林業経営」、デジタルを活用した森林管理、施業省力化などの「森林デジタル」に特化した研修とする。
 同じく新設の「ショートコース」の研修対象者は、林業に従事しながら地域資源を活用して収入を得る生活を希望する人を想定。
 シイタケやタケノコなどの特用林産、農業や観光などの地域資源を活用し、林業と併せて地域活性化できる人財を育成する。
 最後に「検討課題も残されており、関係機関と連携しながら課題解決に取り組んでいくことが必要」としている。

●五木村振興の人財に
 一方、県南校のある五木村では、国、県と3者で策定した新たな振興計画に基づく振興策を進めているが、人口や林業従事者の減少が続いている。
 県では、今回の機能拡充検討を見据えて昨年度、林業大学校生を五木村の“人財”として振興に取り込むためのアイデア集を作成。
 村民と学生との交流、地域活動への参加などを提案しており、今後、村内関係者に説明し配布することにしている。 
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